2008-01-15

EMIのリストラ

EMIで1,500人規模のレイオフがあるみたいです。
全社員数が5,500人なので、30%程度に相当します。

EMIは、今回のリストラを通して、傘下のレコード会社の清算もしくは統合、新人アーティストの発掘に注力してCDのレコーディング部門は縮小するなどの対策をとるようです。その一環として大量のレイオフが実施されるわけです。

EMIは、2007/5に英国バイアウトファンドTerra Firmaに£3.2B($6.4B)で買収された企業。Waner Musicも最後までBidしていたようですね。EMIのみならず大手レコード会社はCD販売の低迷により軒並み減収となっている厳しい事業環境にさらされている。EMIのアルバム売上も対前年比で▲9.4%と芳しくない。

そんな会社の買収価格は直近EBITDAの18.5倍だそうです。この頃の平均が9.0-9.5倍程度だったと記憶していますから、だいぶ高い設定だと思います。
2007/8の米国サブプライムローン問題に端を発した信用収縮が始まる前の時期でDebtの調達環境が良好であったことに加えて、産業全体が低迷している中でのTurnover案件であったことがその背景にはあるのではないでしょうか。
Bain Capitalに代表されるコンサルティンアプローチが得意なバイアウトファンドは、事業再編、事業の効率化を通して事業の改善を図り、主にEBITDAの改善、負債の圧縮により企業価値の向上を図ります。案件によっては大型リストラを前提として業界平均よりも高いMultipleで買収する事があるようです。

この案件は、簡単にリターンを創出できるような環境にない気がします。
iTuneやImeemなどの出現により"音楽を聴く=CDを買う"という既成概念が崩壊しつつある産業動向に加えて、米国の景気低迷が及ぼす世界経済への影響により、経営改善の難しさとExit環境の悪化が18.5倍という高いMultipleに重く圧し掛かってくるように思います。
また、Terra Firmaの過去の投資案件を見ると音楽産業やそれを取り巻くIT産業に関連する案件が見られす、EMIに関する業務改善能力に疑問が残ります。

EMIを含めた音楽産業の動向は継続的に見ていきたいと思います。

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