2008-01-02

シリコンバレー精神

"ウェブ進化論"を書いた梅田望夫氏の”シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土”を読んでみました。

シリコンバレーと呼ばれる場所起こっていたこと、米国ネットバブル崩壊に対する考察が分かりやすく記述されています。米国のネットバブル期をリアルタイムに過ごし、その中でベンチャー企業がどう興ってどう沈んでいったのか、すばらしい洞察力だと思う。2000年頃の米国に似た状況にあると言われている現在の中国を考える上で非常に役立ちました。

中国の高い経済成長を背景として多くの起業家がベンチャーを起こし、それらを支援する多くベンチャー・キャピタルが中国に参入してきている。中国VCは、中国ローカルVC、中国政府系VC、海外VCの大きく3つに分類され、中国でのVC投資の活況を裏付けるように各VCのファンドサイズは年々増加し、投資時のValuationも上昇を続け、特に中国本土・香港の株式市場が好調に推移していることを反映してPre-IPO案件は直近EBITDAの20倍以上の価格が普通につくような異常とも思える状況が続いている。多くの資金が中国に集まり、投資価格が高騰している、確かにネットバブルを彷彿とさせる状況で危うさを感じざるを得ない。

一方で、2000年頃米国との違いもある。中国の経済成長率は11%を超える高成長を継続し、GDP世界第4位に達し経済大国といえる水準まで成長している。しかし、その成長が過剰投資と輸出に支えられていて、加えて沿岸部と内陸部の経済格差という歪な形での成長となっている。中国経済は、構造的な問題を解消した上で内需拡大による適正な成長が求められていて、産業としてはITに限らず製造業やサービス業といった伝統的な産業に至るまで経済の底上げが必要となる。その経済環境を背景にVC投資も50%以上がIT以外の産業となっている。

また、投資先企業の事業内容を見てみると、米国でのVC投資とは異なり、米国を中心した他国で成功しているビジネスモデルを中国で展開するような事業が多いような気がする。Baidu、Alibaba、Taobaoを始めとしてどこかで見たことのある事業という印象である。もちろん、成功モデルを導入することで事業としての検証を省くことが出来るのは、全ての分野の後進国の特権とも言える。その結果、Seed Stageでの投資よりもMiddleからLater Stageでの投資が多く見られる。

中国・香港市場の過熱はいずれ調整されはずだが、もし中国経済がソフトランディングに成功するならば、実需に基づく事業を展開するベンチャー企業は株式市場の影響をあまり受けずに成長するはずで、中国の一人当たりのGDPが先進国並になるまでは成長が続くものと考える。

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