Millenniumは、がん新薬や患者の体質に適した新薬を開発するテーラーメイド医療に強みを持つ企業。
買収額がなんと$8.8Bで、国内製薬会社としては過去最大規模。日経の記事に"米国バイオベンチャーを$8.8B"と書いてあったのでびっくりしましたが、既に開発済みの商品があって、売上高がNASDAQに上場している企業で、所謂VCバックの臨床試験を行っている段階のバイオベンチャーとはとは異なる。
背景には、武田製薬が保有する主力薬剤の物質特許が主要市場の米国で相次いで切れることから自社開発を目指していたが、開発が進まず買収に踏み切ったというものです。そもそも武田製薬の主力薬剤を知らなかったのですが、どうやら潰瘍治療薬と糖尿病治療薬の特許が切れるようです。
ただ、特許切れになる薬剤が年間$3Bを稼ぎ出してきたのに対して、Millenniumの主力薬剤は$350M程度の売上に留まるようなので、この買収による武田製薬の将来の業績への評価は分かれるポイントのようです。そういったこともあり買収単価(発表前日の終値の53%プレミアム)については、この産業のアナリストの評価としては高すぎると見るむきが強いようです。
ちなみにFAは、Buy sideがUBS、Sell sideがGoldman Sachsです。
買収案件が報道されると買収価格を直近株価のプレミアムを見て、高い/安いという議論があると思いますが、確かに指標としては分かりやすいものの、それだけでは判断できない部分があるもの事実だと思います。事業会社による買収の場合、機関投資家のそれとは異なり、事業上のシナジーを見込むで買収単価を算定しているはずだし、現状の株価に対する売り手と買い手の認識の差が、買収交渉を難しくしていることも事実だと思います。
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